ブコメ補完

ドライでウェットでクールでホット。

何者でもない俺が就職氷河期に実際に起きたことをありのまま語るぜ

俺は大卒の就職求人倍率が1倍を切ったという最も日本社会が冷え込んだ時代の大卒だ。世間的にはこの極寒の世代を「氷河期世代」もしくは「ロスジェネ世代」などと呼んで、非正規雇用者の増加(正社員になれない)・結婚しない(できない)・子どもを作らない(作れない)の元凶であるかのように扱う。そして、多くの氷河期世代が自分達は時代が生んだ被害者なんだという意識を持ってやさぐれてやがる。

しかし、これを書く前に言っておくッ!俺は氷河期をほんのちょっぴり、いやガッツリ体験した。い…いや… 体験したというよりは、まったく理解を超えていたのだが……
あ…ありのまま起こった事を話すぜ!「俺は新卒就活をしていないのに、いつの間にか就職していた。」な… 何を言っているのかわからねーと思うが、これは、氷河期を生き抜いた一人の生存バイアスの話として読んでほしい。

今の大学生に2013年ごろまで断続的に続いた就職氷河期がどんな感じだったかを説明すると『早慶大生がビックカメラの店員になるために面接を5回も突破する必要があった』 - Togetter

氷河期全盛期、就活するのは時間の無駄と判断し、遊びまくって4年生を2回やった。それでも、入りたい会社に「結構仕事できるタイプだと思うんで入れてください」と言ったら、募集してなかったけど入れてくれたよ。

2019/01/02 14:32

就活時期に何をしたか

周りのみんなは超必死

なんだか周りのみんなは就職先を見つけるために超必死だった。就職できた研究室の先輩にアポを取って就職のためのコネやコツを聞き出したりしていたようだ。大学には就職活動課みたいのがあって、そこにみんな通っていた。そんな時、私は何をしていたかというと就職活動課の職員と喧嘩をして就職を斡旋してもらえなくなっていた。そうなると自分ではどうやって就職活動をしていいか分からなくなって…私はそのうち考えるのをやめた。ゴゴゴゴゴゴ…
実際に好きな研究や遊びで寝る暇もなく活動していて就活なんてやってる暇はなかったので諦めをつけることができて良かったと思っている(ポジティブ!

就職活動をしていなくても勝手に内定を出される

みんな必死で内定を取るために説明会や就職試験を受けていたが、実は何もしなくても内定が取れるケースがあった。何もしていないのにどうやって内定取れるのかというと突然、電話や手紙で同じ出身大学の人が経営している会社などから勝手に内定を告げられるパターンだ。氷河期といっても理系・工学系の人材はそれなりに人が欲しい状況だったようだ。

私もそのパターンで内定がきた。しかし、相手がW杯の日本vsクロアチア戦の最中に内定電話をかけてきたので、その場で「今、なんの時間か分かっているのか?そんな会社には入らないので内定辞退します。」と伝えた。企業名は忘れたがW杯の日本戦に電話をかけるなんてなんて非常識なんだ。入らないで良かった。まぁ、その年にダブ(留年)ったのでどっちみち入れなかったけど。

就職内定のないまま大学を卒業して何をしたか

Web系の仕事にターゲットを絞る

その頃、小さな箱のライブを中心に年間200本くらい行ったりして全力で遊んでたんだが(演る方ではなく、見るほうね)、そこで出会った年下の女友達に「自分のプライベート時間が確保しやすい仕事探してるんだよね」と話したら「は?好きなことを仕事にしないとかバカなの?死ぬの?」というようなことを言われた。(後にその女の子が有名な銀座のクラブ嬢になるのはまた別のお話)

その時の会話がかなり自分の中でグルグルまわっって、自分が好きなものは何か?という自問自答を繰りかえし、最終的にはWeb系の仕事に就く決心を固めた。しかし、当時のWeb業界では新卒・未経験者など募集していなかったので、まずはWeb系の専門学校に入ることにした。

Web系の専門学校に入ってやったこと

専門学校に入って驚いたのは、入学した時点で俺よりWebに詳しい人も技術的にできる人もいなかったことだ。講師も含めてだ。やれやれだぜ…(その専門学校で出会った女性が今の嫁なのもまた別のお話)

まぁ、新卒採用などなかった1999年のWeb業界、目的はその専門学校のツテのある企業に斡旋してもらうことだったので、まぁいいか(良くないけど)みたいな状態で、とにかく何社か紹介してもらった。

入りたい企業に凸電

専門学校で紹介してもらった企業はパッとしなかったので断ったのだが、専門学校で周りが自分よりあまりにもできなかったので変に自信を持ってしまい、募集をかけていなかったけど、入りたいと思ってた企業があったので凸電してみた。誰もが知ってる超大企業のWebサイトを手がけているWeb制作プロダクションだった。

俺「実務未経験なんですが、技術力が分かる作品を送るので見てもらえますか?」

反応は意外で「じゃぁ、面接しに来て。」とのことだった。自分が作ったものがどう評価されるのかドキドキしながら作品を送り、指定された日に面接に行くと。

「誰だっけ?あー、面接の人ね。作品?見てないや、ここで見ようか。データある?」

みたいな感じだった。普通に考えたら酷い対応と思う人もいるのかもしれないが、俺はそんなことだろうと思って準備していたCD-Rに焼いたデータを差し出した。当時のWeb制作プロダクションは厳しい先輩ばかりで、数日帰れないなんて当たり前なブラック前提で成り立っている業界であることの認識と覚悟は持っていたので、心の中では期待通りでワクワクしていた。作品を見た反応は「お!すげぇ!全部一人で作ったの?」とか聞かれたのを記憶している。当時はかなり自信過剰だったので「自分を採用しないと損しますよ」的なことも言ってた気がする…思い出すと震える。そんな態度もあってか、後々聞いたら、二人の面接官のうち一人は不合格にしていたそうだ。でも、もう一人が猛烈に推してくれて合格の連絡が来た!(後の上司だ)ちなみに、そこに落ちたらホリエモンが社長だったオン・ザ・エッジに電話しようとしてた。

入社後

合格といっても最初はバイトで様子を見られて、2ヶ月後に正社員にしてもらった。そのあとなんだかんだあって会社が大企業にM&Aされて、気づけば数万人の会社で働くこととなり、いつの間にか100人を超える部下もいる。(はてブばかりやっているのは秘密)。就職氷河期に新卒就活をしないで遊んでた人間が、なんだかんだでそうなるって俺自身も思わなかった。

最後に

結局、何が言いたかったか自分でも分からないけど、就職氷河期時代は「ナナロク世代」って呼ばれる1976年あたりに生まれた人がIT関連(特にインターネット)で企業して成功した人が多かった時代でもあって、決して負け組の世代って訳でもないんだよね。自分が生まれた時代の特徴を捉えて行動すれば案外良い結果が得られるんじゃないかな。

俺はこの時代に生きて被害者意識など全くないし、この時代に生きれて良かったと思っている。むしろこの時代でなかったら生き抜けなかったかもという気持ちが強いかな。

 

何者

何者