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「最後通牒ゲーム」を攻略できていないチームのプロジェクトが破綻する理由

最後通牒ゲーム」という心理実験がある。

ここ数年、プロジェクトが上手く回せる強いチームとはどんなチームかについて考える機会が多いのだが、一つの答えとして、この「最後通牒ゲーム」を攻略できているチームであることが挙げられるんじゃないかと思う。 

最後通牒ゲームとは

  • (ultimatum game) 「報酬」を2人でどのように分配するかというゲームで、心理実験として用いられる。 ある1人(仮にAさん)には報酬配分の提案権を、もう1人(仮にBさん)には提案された報酬配分への拒否権を与えるという2人2段階ゲーム。Aさんが報酬配分を決定できるが、Bさんが拒否したら2人とも報酬を失ってしまう。.. 続きを読む

最後通牒ゲーム」を攻略できていないとどうなるかというと

例えば、100のタスクをこなさないと完了しないプロジェクトがあるとする。

プロジェクトのリーダーAさんは自分に10のタスク、メンバーBさんに90のタスクを割り振った。Bさんは「なぜ、自分より職位の高い(給料が高い)Aさんより自分の方が多くのタスクをこなさなければならないんだ。納得できない。」と言い、90のタスクをこなすことを拒んだ。結果、プロジェクトは破綻し、Aさん、Bさんはトラブル処理に多くの時間を割き、評価も下がり、Aさん、Bさんの関係性も悪くなった。

みたいなことが起きる。仕事を拒むまでいかなくても、このような状態の時にモチベーションが低くなり生産性が著しく低下したり、チームの雰囲気を悪くする言動をするようになる人がいる、というのは理解できるのではないだろうか。

つまり、報酬分配に対してチーム内に自分よりも優遇されていると感じる人がいると、結果的にチームや自分に不利益が発生しようとプロジェクトを破綻に導いてしまう自爆テロのような行動を取る人は実際に多いということだ。

これを攻略するには各自が報酬に対して納得感がある状態を作るのがベストなのだが、プロジェクトメンバー全員に納得感を与えるのはかなり難しいと思う。
ベターな方法として考えられるのは、この「最後通牒ゲーム」を理解し、プロジェクトを破綻に導く行動がいかに不毛であることをメンバー全員が把握し、「このプロジェクトではその条件を飲みますが他のプロジェクトでは優遇してくださいね。」という交渉がチーム内でストレス無く行える関係性を持つことだと思う。